相続放棄を考えるとき、「借金は切れるとしても、家はどうなるのか」が最後まで不安として残ります。実家が空き家になるのか、売れない家を抱え続けるのか、勝手に処分していいのかで手が止まりやすいです。
混乱しやすい理由は、相続放棄が「家が消える手続き」ではなく、「相続人としての立場が外れる手続き」だからです。相続人の順番が動く一方で、家の現場はそのまま残り、管理の責任だけが宙に浮きやすくなります。
そこでこの記事では、相続放棄した後に家がどう扱われるかを、不動産の流れと注意点で整理します。読んだあとに、今日やる順番が決まる状態にします。
こんにちは、ケン(2級建築士)です。このサイトでは、墓じまいを中心に、相続・法事・供養まわりで迷う方に向けて「話を盛らない・現実ベース」で整理してお伝えしています。建築業界で約20年、現場施工を軸に、見積もり・段取り・説明の場まで、判断が割れやすいタイミングを数多く見てきました。
わたしは墓じまい工事そのものや士業の専門家ではありませんが、現場側の目線として契約や手続きの前に、どこを確認すれば安心に近づくか/どこで不安が残りやすいかを手順に落として言語化できます。このサイトでは「何から考えるか」「詰まりやすい所」「判断の基準」を、迷わない順番で具体的に整理しています。
▶︎ 運営者プロフィールを見る1. 相続放棄すると家はどうなる?
相続放棄をすると、その人は家を相続しない扱いになり、相続人の順番が次へ移ります。
相続放棄で起きるのは「家がなくなる」ではなく—「受け取る人が変わる」という変化です。あなたが放棄すると、同じ順位の他の相続人が受け取る可能性が高くなります。同順位がいなければ、次の順位へ相続が繰り上がる流れになります。
- 戸籍で相続順位と次の相続人を確定する
- 登記事項証明書で家と土地の名義を確定する
- 固定資産課税明細で不動産の件数を確定する
- 同順位の相続人に放棄予定を共有する
- 鍵と書類の保管場所を1つに集約する
「放棄したのだから、家には一切関われない」と考えたくなるかもしれません。ですが現実は、家に住んでいたり鍵を握っていたりすると、現場の管理が問題になります。放棄は立場の整理であり、家の現場整理は別の作業だと切り分けるのが安全です。
2. 不動産の扱いと注意点
放棄後も家を現に占有している場合は、引き渡すまで保存の注意が残ることがあります。
放棄した瞬間に完全に手が離れるとは限りません—特に家を実質的に管理している状態だと、次の相続人や相続財産の清算人へ引き渡すまで、保存の責任が残る方向になります。ここで大事なのは「占有しているか」の判定で、同居や鍵管理、出入りや管理実態が判断材料になりやすいです。参考資料:laws.e-gov.go.jp。
- 家の鍵を管理している者を1人に固定する
- 郵便物の転送手続で家の滞留を止める
- 雨漏り箇所の応急処置で損傷拡大を止める
- 火災保険の契約状況を確認して保管する
- 電気ガス水道の契約名義を勝手に動かさない
「放棄したなら放置してよい」という反論は出やすいです。けれど占有の実態があると、放置の結果として周囲に損害が出た場面で揉めやすくなります。保存は大工事ではなく、悪化させない最低限の手当てが中心です。立場と現場を分けて考えるほど、余計な争いが減ります。
3. 管理者が決まらない
家が揉めるのは、次の相続人が決まらないまま時間だけ進むときです。
相続放棄が連鎖すると、家の担当者が空白になりやすい—その間に空き家は傷み、近隣対応や費用の話が膨らみます。さらに「誰が鍵を持つか」「誰が片付けるか」だけで揉め、肝心の手続きが止まりがちです。放棄した側が全部やる必要はありませんが、現場が崩れるほど後で高くつきます。
- 相続人全員へ放棄の方針を同報で伝える
- 次順位の相続人へ家の現状写真を共有する
- 固定資産税の納付書の送付先を整理する
- 近隣からの連絡窓口を1人に決めておく
- 家財の処分を独断で進めず現状を維持する
「誰も住まないのだから、何もしなくてよい」と感じることもあります。ですが家は放置で勝手に問題が育ちます。現場が荒れるほど、次の相続人も手を出しにくくなり、清算の手続きも遅れます。空白を作らない段取りが、結局いちばん安く済みます。
4. 保存義務を外す手順
手順は、占有の有無を整理し、引き渡し先を決め、引き渡せる形を作ることです。
先にやるのは「誰に渡すか」を固めること—次の相続人がいるなら、鍵と書類と現状を渡す段取りを作ります。全員が放棄に向かうなら、相続財産の清算人の選任を視野に入れ、引き渡し先を制度として作る発想になります。ここで独断の処分や売却の動きは、余計な火種になりやすいです。
- 占有の実態を同居鍵管理出入りで整理する
- 次の相続人へ鍵書類現状写真を引き渡す
- 危険箇所の応急処置だけ行い現状を保つ
- 清算人選任の要否を基準で判断して決める
- 家財処分や解体の判断を手続き後に回す
「とにかく早く手放したい」という気持ちは自然です。ですが焦って動くほど、占有や処分の扱いで話がややこしくなります。ここまでやってダメなら次は弁護士へと決めて、引き渡し先の設計から入るのが安全です。先に出口を作れば、保存の負担は短くなります。
5. よくある質問5つ(FAQ)
Q1. 相続放棄したら家は国のものになりますか?
すぐに国のものになる流れではありません。まずは同順位の他の相続人や、次順位の相続人へ相続が移る可能性があります。全員が放棄して相続人がいない状態になった場合に、清算の手続きへ進む形になります。
Q2. 相続放棄したのに家の管理を求められるのはなぜですか?
放棄後でも家を現に占有している状態だと、引き渡すまで保存の注意が残ることがあります。占有の有無は、同居、鍵管理、出入りや管理実態などで判断されやすいです。
Q3. 実家に住んでいないなら、相続放棄すれば何もしなくていいですか?
住んでいなくても、鍵を持って自由に出入りし管理している実態があると注意が必要です。一方で、占有していない状態が明確なら、保存の負担は軽くなる方向になります。現状の関わり方を紙に整理すると判断がぶれません。
Q4. 家の中の家財は片付けてもいいですか?
独断の処分は避けた方が安全です。放棄後の関係者や引き渡し先との整合が崩れると揉めやすくなります。最低限の安全確保にとどめ、処分は引き渡し先が決まってから進める方が事故が減ります。
Q5. 全員が相続放棄しそうで、家の引き渡し先がありません
引き渡し先を制度として作る発想が必要になります。相続財産の清算人の選任を検討し、引き渡せる状態を整えると、保存の負担を終わらせやすくなります。期限や状況が厳しいなら、早めに専門家へ寄せるのが安全です。
現場職人の本音トーク
わたしは現場を20年以上も見てきた。相続放棄の家で人が固まるのは、梅雨の床みたいに足元が滑るからだ。放置した空き家は、気づいたときに一気に牙をむく。
原因は3つに割れる。次の相続人が決まらない。鍵の所在が曖昧で占有の線が残る。家財を動かして話がこじれる。悪意より構造、揉める形に寄っていく。
今すぐ、鍵と書類を1か所に集めとく。今日、家の現状を写真で押さえて共有していい。週末、引き渡し先を決めて渡す段取りを組みしとけ。
ここまでやれば腹が決まる。絡まったロープは、引っ張る前に結び目を見つける。出口を作ってから動く、ここまでやってダメなら次は弁護士だ。連絡窓口が増えて、同じ説明を3回やる夜が来る。
最後は笑い話。片付けを張り切ってゴミ袋を積んだのに、鍵をどこに置いたか忘れて家に入れなくなる。だから順番、順番だ。
まとめ
相続放棄すると家は相続しない扱いになり、相続人の順番が次へ移ります。家そのものが消えるわけではないため、「誰に移るか」を早めに整理するほど混乱が減ります。
注意点は、家を現に占有している状態だと、引き渡しまで保存の注意が残り得ることです。放置で現場が崩れるほど、後からの手続きも費用も重くなりやすいです。
今日やるのは、占有の有無を整理し、引き渡し先を作ることです。焦って処分に走らず、出口を先に作って進めてください。家は放棄で消えないので、引き渡しの段取りで終わらせます。
