実家を賃貸に出そうとすると、空き家の管理より楽に見える一方で「貸してから揉める」落とし穴があります。家賃が入っても、修繕やクレーム対応で手元に残らない状態になると意味がありません。
失敗の多くは、建物の古さよりも契約と運用のズレで起きます。誰がどこまで直すのか、どの条件で費用負担が切り替わるのかが曖昧なまま契約すると、入居後に一気に噴き出します。
そこでこの記事では、実家の賃貸で失敗する原因5つと、修繕負担と契約条件の線引きを整理します。住む・貸す・売るで迷っている段階でも、貸すなら最低限ここだけは決め切る順番にします。
こんにちは、ケン(2級建築士)です。このサイトでは、墓じまいを中心に、相続・法事・供養まわりで迷う方に向けて「話を盛らない・現実ベース」で整理してお伝えしています。建築業界で約20年、現場施工を軸に、見積もり・段取り・説明の場まで、判断が割れやすいタイミングを数多く見てきました。
わたしは墓じまい工事そのものや士業の専門家ではありませんが、現場側の目線として契約や手続きの前に、どこを確認すれば安心に近づくか/どこで不安が残りやすいかを手順に落として言語化できます。このサイトでは「何から考えるか」「詰まりやすい所」「判断の基準」を、迷わない順番で具体的に整理しています。
▶︎ 運営者プロフィールを見る1. 実家の賃貸で失敗する原因5つ
失敗の原因は、費用負担と意思決定が契約に落ちていないことです。
賃貸は契約の瞬間がゴールに見えますが—本番は入居後の運用です。入居直後の不具合、設備故障、近隣対応が出た時に、誰が判断し誰が払うかが決まっていないと止まります。止まった時間の分だけ入居者の不満が増え、退去や値下げに直結します。最初に「揉める論点」を先回りして潰すのが現実的です。
- 修繕の範囲と連絡手順を契約に落とし込む
- 設備の故障時の負担線を事前に決めておく
- 近隣クレームの窓口を1人に固定する
- 退去時の原状回復の考え方を共有する
- 家賃設定を修繕リスク込みで再計算する
「管理会社に任せれば何とかなる」という反論もあります。ですが管理会社も契約と方針がないと動けません。任せるほど、契約の線引きが重要になります。最初に決めるべきは、責任の境界と決裁の速度です。
2. 修繕負担と契約条件の線引き
線引きは、平常時と故障時と退去時で分けて決めると崩れません。
修繕負担は感覚で決めると必ず揉めます—理由は「通常損耗」と「借主の過失」の境界が曖昧だからです。国土交通省のガイドラインでは、通常の使用による損耗等の修繕費用は賃料に含まれる考え方を示し、借主負担は故意過失など通常使用を超える場合と整理しています。参考資料:mlit.go.jp。ここを前提に、契約書には「どの設備が対象か」「連絡期限」「緊急時の立入り」「費用負担の例外」を書き切ると事故が減ります。
- 設備一覧を作成して貸主負担の対象を明確化する
- 消耗品の範囲を決めて借主負担を限定する
- 緊急時の立入り条件を定めて対応遅れを防ぐ
- 入居前点検の写真を残して現況を固定する
- 退去時の負担区分を例示して認識差を減らす
「細かく書くと借り手が嫌がる」という反論も出ます。ですが曖昧な契約は、良い借り手ほど避けます。条件が明確だと、借主も安心して長く住みやすいです。線引きは強さではなく、事故を減らすための説明です。
3. 期待値がズレる
賃貸の失敗は、家賃と建物状態の期待値が揃っていない時に起きます。
古い家でも貸せますが—借主が想定する品質と違うとクレームになります。設備が古いなら、故障しやすい前提でルールを決める必要があります。逆に見た目を直しても、雨水や配管が弱いと一発で信用が落ちます。期待値を揃えるには、情報開示と入居前説明が効きます。
- 修繕履歴を整理して説明できる状態にする
- 不具合の可能性を入居前に伝えて誤解を減らす
- 禁止事項を列挙して近隣トラブルを減らす
- 庭木とゴミの管理範囲を決めて負担を分ける
- 連絡手段を統一して対応速度を上げる
「入居者が決まってから考える」という反論もあります。ですが入居前に決めないと、入居後は相手の生活が始まってしまいます。生活が始まると、交渉は一気に難しくなる。期待値は契約前に揃えるのが基本です。
4. 契約と運用を固定
勝ち筋は、契約で縛るより運用で迷わない形を作ることです。
賃貸は想定外が出ます—だから想定外の時に迷わない設計が必要です。誰が判断し、何時間以内に返し、どの範囲なら即決するかを決めると強いです。さらに、年1回の点検と記録があるだけで、故障が小さいうちに止まります。運用が固定されるほど、修繕費は読めるようになります。
- 緊急連絡フローを作成して返信の遅れを消す
- 小修繕の上限額を決めて即決できる範囲を作る
- 年1点検を実施して劣化の芽を早期発見する
- 火災保険の補償範囲を確認して穴を塞ぐ
- 更新時に条件を見直してズレを修正する
「契約さえちゃんとしていれば大丈夫」という反論も出ます。ですが契約は紙で、運用は現場です。紙が良くても返事が遅いだけで信用は落ちます。ここまでやってダメなら次は、管理会社に運用を寄せて窓口を一本化する判断です。
5. よくある質問5つ(FAQ)
Q1. 修繕はどこまで貸主負担にするべきですか?
設備や建物の使用に必要な修繕は貸主側が負担しやすく、借主の故意過失に起因するものは借主負担に寄せるのが基本です。迷う箇所は設備一覧を作り、契約書で具体例を置くとズレが減ります。
Q2. 入居前にリフォームしないと貸せませんか?
貸せるかどうかは一律ではありません。貸す目的なら見た目より雨水と設備の安定を優先し、説明で期待値を揃える方が事故が減ります。
Q3. 契約書で一番揉めやすいポイントは何ですか?
修繕負担、原状回復、緊急時の立入りが揉めやすいです。条文よりも運用の手順と期限を具体化すると、揉める前に止まります。
Q4. 近隣クレームが出た時はどう対応すべきですか?
窓口を1人に固定し、事実確認と対応期限を短く伝えるのが基本です。放置すると「管理されていない家」という印象が強まり、追加トラブルを呼びます。
Q5. 管理会社に任せる判断基準はありますか?
遠方で即対応できない、判断が遅れがち、修繕の手配が苦手なら相性が良いです。契約の線引きと決裁ルールを決めた上で任せると失敗が減ります。
現場職人の本音トーク
わたしは現場を20年以上も見てきた。実家を貸すってのは、家に働いてもらう話だ。だが働かせるなら、勝手に休まない仕組みが要る。雨が続く季節に限って、設備も気持ちも壊れやすい。
原因は3つだ。修繕の境界が曖昧、連絡が遅い、そして退去時に爆発する。読者が悪いんじゃない、悪意より構造だ。紙に書いてない空白は、あとでクレームがペンで塗りつぶす。穴の開いた網で魚を獲るみたいなもんだ。
今すぐ、設備一覧を作りしとく。今日、緊急時の連絡先と返事の期限を決めしとく。週末、入居前写真を揃えて現況を固定しとく。
ここまでやれば、揉め方が変わる。家賃より先に、修繕と連絡のルールを決めるのが勝ち。ここまでやってダメなら次は、管理会社に窓口を寄せて判断を速くする。入居後に「聞いてない」が出る場面、だいたい写真がない。
最後に笑えるやつ。契約の時は強気に「大丈夫」と言うのに、蛇口の水漏れで急に小さくなる。で、電話を折り返した頃には、相手の怒りだけが先に引っ越してる。
まとめ
実家賃貸の失敗は、建物の古さよりも修繕負担と契約条件の曖昧さから起きます。入居後の運用で迷うほど、クレームと退去が早まります。最初に揉める論点を潰すのが近道です。
次の一手は、設備一覧と現況写真で期待値を揃え、修繕と連絡の手順を固定することです。平常時と故障時と退去時で線引きを分けると、話が崩れません。遠方で動けないなら窓口を一本化して速度を作ります。
今日やるべきことは、修繕の境界と緊急時の連絡ルールを決めて契約に落とすことです。これだけで入居後の揉め方が変わり、家賃が残る賃貸に近づきます。迷いを紙と運用で終わらせてください。
